第327話 私の半身…
「ふぅーん」
その人は、気を悪くする様子もなく、裕太とジュンペイを見比べる。
「私は、シェーラ。
サキアは…私の半身よ」
半身?
なに?
言っている意味が、よく分からない。
だが、こうして見ると…サキアさんとは、まったく違う雰囲気だ。
サキアさんが太陽ならば、シェーラは月。
陰と陽。
顏も体つきも、コピーのようにソックリなのに、持っている空気感や、
オーラが違う。
(サキアさんは、おっかないけれど…
この人はまるで、死神のようだ)
そう思うと、自分の全身の血が凍り付くようで、裕太はブルッと
身震いをする。
本当に、血の通った人間なのか?
裕太はそう考えながら、シェーラというサキアによく似た女性を、
見上げていた。
「サキアのことは、どうでもいい。
あの人は、まったく関係ない」
なぜか、きっぱりとそう言い放つ。
姉妹ならば、関係ないということはないだろう…
そう思うのに、
「ふーん、そうなんだ」
案外ジュンペイはあっさりと、納得したようだった。
「あのぉ~ここは、なんですか?」
微妙な空気を変えようと、裕太は明るい声で聞く。
見た所は、普通の教会の廃墟のようだが…
屋根は半分崩れ落ち、壁もほぼ、なくなっている。
唯一屋根についている十字架と、1つだけ残ったステンドグラスだけが、
教会の名残りを残している。
「ここ?
ここはまぁ…教会だったんだけど、今はもう、やっていないのよ」
あっさりとシェーラが、そう言った。
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