第328話 あなたは、なぜ?

「そうなんですか?」

 そう言いながらも…じゃあこの人は、どうしてここにいるのだろう…

裕太は逆に、気になってくる。

「ね、サキアは…元気?」

 いきなりこの雪の女王は、裕太に聞く。

「えっ?はい…」

やはりまだ、この人の空気には慣れない。

だけどこの人は、何者なんだ?

やはりその辺が、気にかかる。

裕太は軽く咳払いをすると、ふぅ~と息を吐く。

「あのぉ~」

思い切って、声を出す。

「あなたは…サキアさんと、どういう関係ですか?」

意を決して聞いてみる。

 半身…ということは、双子の姉妹なのか?

だが、この人の返事がない。

どうしたものだろう…と困っていると、

「うん、まぁ~なんて言うか…

 姉妹よりも、血が濃いけれど、でも別人格…というか。

 双子みたいなもの?」

そう言って、笑う。


 確かに、顏はそっくりだけど、性格はまったく違うようだ。

サキアさんが陽ならば、シェーラさんは陰。

サキアさんが笑っていたら、シェーラさんは黙ってイヤホンで

音楽を聴くタイプ?

裕太は1人、そんなことを考えていた。

「じゃあ、何で、ここにいるのですか?」

ますますもって、気になる。

見た所…ここには、何もなさそうだ。

ただの廃墟に見える。

だが、本当に何もないのなら、この人がここにいる意味があるのだろうか?

裕太は、ひたすらその理由を探していた。

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