第318話 バイバイ、ジャック!
ジャックが降りて行くのを見守ると…ジュンペイはポツリと
「アイツ…案外、いいヤツだったな」とつぶやいた。
「えっ」
ジュンペイが人を褒めるのを見るのは、UFOを見るくらいレアな
ことなので…
(いや、ほぼない、と言ってもいい)
裕太は思わず、聞き間違いかと、振り返る。
だけどジュンペイと、目がかち合うと、
「そうだね」
軽くうなづくに、とどめた。
「アイツ…わざわざ、ボクたちを助けるために、待っていてくれたん
だろうか?」
下を見下ろしたまま、ジュンペイが言うので、
もしかしたら、そうなんだろうか…と、裕太はひそかにそう思う。
それからおもむろに、目の前の豆の木の幹を見つめる。
「ねぇ、この幹を切ったら、どうなるのかなぁ?」
「さぁ、倒れるだけだろ?」
ジュンペイは、その辺りのことは、興味がないらしい。
そうじゃなくて…と思うけれど。
「じゃあ、そうしたら、もうここには…上がっては来れないんだろうなぁ」
裕太は気にかかる。
「また、豆をまけばいいんじゃない?」
軽くジュンペイが言う。
「そういう問題か?」
ははは、と笑うと
「その辺は、いいんじゃないか」
軽く笑う。
それにしても、この屋敷は落ちたりしないのだろうか?
何となく、そう思っていると、ジュンペイはニヤリと笑って、
「屋敷が落ちるのなら、間違いなく、ボクたちも落っこちるだろうなぁ」
他人事のように言う。
あっ、そうか。
「ちょっとぉ~冗談がキツイよぉ」
裕太は悲鳴のような声を上げた。
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