第317話 最後にひと言!

「何、言ってるんだよぉ~

 もともと、ボクのものだよ」

 ジャックはヘラリと笑うと

「ここで、お別れだ」

豆の木の幹につかまった。

抱きつく格好で、足を放しかけて

「あっ、そうだ!忘れてた」

いきなり声を張り上げると、裕太たちを振り向く。

「ボクが降りた後…この豆の木を、切り倒すんだ」

いきなり、キッパリとした口調で言う。

「えっ、なんで?」

そこまでする必要が、あるのか?

裕太は驚く。

「だって、そんなことをしたら…

 もう、上がってこれなくなるよ?」

それでも、いいの?

ジャックに向かって聞く。

「それでいいんだ」

だが、そんなことなど気にせずに…

裕太に向かって、

「ありがとう」と微笑む。

「それで、いいんだ」

「でも…切ったら、どうなるの?」

何でワザワザ?

ジュンペイが、けげんそうな顔をする。

まだ、お宝がありそうなのに?

「それは…巨人をやっつけるんだ」

「はっ?」

何で?

意味が…わからない。

「だから…2度と、下りて来られないようにするんだよ」

何で、わからないんだ?

ジャックはやや怒ったように言う。

「とにかく、頼んだぞ」

そう言い捨てると、スルスルと器用に、滑り降りて行った。

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