第61話 このオバサン…何者?
(ここは、どこだ?
もしかして…外に出た?)
全く気付かなかったけどなぁ~
ジュンペイは驚く。
そうして目の前には、かなり古びた扉のようなものが現れた。
(あれ?いつの間に?)
それは、錆びた金属で出来た、扉のようだ。
かなり頑丈そうで、分厚そうに見える。
おそらくは、ガタイのいいタケシが、体当たりしても、
壊れたりはしないだろう。
「ここだ」
ピタリと立ち止まると、一拍おいて、ミナトはチラリと
仲間たちを振り返る。
「カギは?」
思わずジュンペイが聞くと、
「そんなものは…あるわけがない」
ニヤリと笑った。
(えっ、じゃあどうするんだ?)
ジュンペイは、キッと顔をしかめると、その脇からまっすぐに
こちらに進んでくる人が見えた。
マリさんだ…
「えっ?」
驚くジュンペイを尻目に、ズンズンと前に進むと、彼女は
その場で、腰を落とす。
戸惑うジュンペイのことなど、目もくれず、まったく平然とした
様子で、マリさんはそっと、金属のドアノブに、手を触れた。
それは、ほんの一瞬の出来事だった。
とりたてて普通に、マリさんが軽く手を触れただけで…
なぜかカチン…と、かすかな音がした。
「えっ?」
今、何が起こったのか、理解が出来ずに、ジュンペイはポカンと
口を開けていると、マリさんは、そのノブから手を放した。
「えっ、今、何をしたの?」
どんぐり眼になると、ジュンペイはマリさんに食いつくように聞く。
「さぁ?」
フフッと笑うと、ミナトを振り返った。
これは…まるで手品だ。
どうなっているんだ?
だが誰も、驚く様子もなく、種明かしもしてはくれない。
(これが、当たり前なの?
もしかして…マリさんが強い、というのは、このことなのか?)
だが…とにかくスゴイのひと言だ。
ジュンペイには絶対に出来ないことを、目の前で行われた…
というのだけは、わかった。
「スゴイなぁ」
まだ感心していると
「さぁ、ボヤボヤしてないで、さっさと中に入れよ」
ポン、とミナトが、ジュンペイの背中をたたいた。
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