第7話  ボクたち元気な探検隊?

「あなた…どこへ行ってたの?」

 驚くでもなく、サキアはごく自然に話しかける。

少し子供たちに、慣れてきたのか?

(この人…何者?

 ボクたちのこと、変だとか思わないのかなぁ)

裕太はふと、疑問に思った。

まさかボクたちが意識を失っている間に、やはり誘拐したのか?

裕太はようやく、回るようになった頭で、あれこれと余計なことを

考える。

「そんなこと、あるわけないじゃない」

いきなりケラケラと女の人が笑う。


 えっ?

 裕太は面食らう。

(なに、この人…ボクの頭の中が読めるの?)

そう思っていると、彼女はニヤリと笑い、

「そんなの、簡単よぉ~」

楽しそうに言う。

(なんなんだ、この人は!)

裕太が不審そうな目で、彼女を見ていると、

「なんだよ」

1人取り残された感じのジュンペイは、ムッツリと黙り込んだ。

 ジュンペイの視線を感じて、裕太は「あっ」と気が付く。

「ね、さっきはどこへ行ってたの?」

もう1度、聞いてみると

「ちょっと、偵察に言ってた」

ようやく機嫌のいい顔になる。

「テイサツ?」

「そう」

ジュンペイは何だか、悪い顔をした。

こういう顔をする時って…

たいてい何かを、企んでいるんだよなぁ~

裕太は何だか、嫌な予感がした。


「もうさぁ~ここって、すごいんだぞ」

  まるで自分の手柄のように、興奮して、ジュンペイは裕太に向かい

キラキラとした目を向ける。

知らないだろ、とひと言言うと

「ここってさぁ、力自慢の男たちが…わんさか押し寄せて

 来ているんだ」

何か力自慢大会でも、あるのかなぁ~

先程見た光景を、裕太にも教えたい…と、唾を飛ばすような勢いで、

話し続ける。

「そうなんだ?」

裕太はポカンとして、この友だちのことを見ている。

「そうさぁ」

得意気にそう言うと

「ねっ!」

いきなり傍らに立つ大男に向かって、同意を求めた。

「へっ?あ、あぁ」

 このボディーガード、いきなり子供に話しかけられたので、

どう反応していいかわからず、戸惑っている。

見た目は屈強なこわもての男性に見えるのだが、この子は少しも

怖そうにはしていない。

「ふぅーん」

裕太もチラリとは見るけれど、やはり大して怯える様子もない。

(あれ?)

男性は、いささか傷付く。

 だが…全くそんなことを、気にする様子もなく、

ジュンペイはニヤリと笑うと、身を乗り出すようにして、話し続けた。

 ただサキアだけは…

(あらあら~)

同情の目を彼に向けた。

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