第112話 新たな冒険の始まり!

「どこへ行きたい?」

 ボディーガードの案内役で来たミナトに、丁度いいわ、と

マリさんに頼まれる。

せっかくだから、この地下の町を案内してあげて欲しい…と

言われたのだ。

「うーん」

裕太はジュンペイと、顔を見合わせる。

何しろここへ来るのは、初めてだ。

どこへ行ったらいいのか、全くわからない。

「そうだなぁ~

 ここから外に出るには、どこへ行ったらいいの?」

何気ない調子で聞くと

「外へ?」

ちょっと想定外だったようだ。

「外って…地上のこと?」

いきなりドアの方から、声がした。

「お待たせ!」

サキアとマリさんが、顔をのぞかせる。

積もる話でも、していたのだろう。

「この子たちを…家に帰してあげなくちゃあいけないわねぇ」

マリさんがつぶやいた。


「家へ?」

「家に帰れるの?」

思わず裕太の声が大きくなる。

「そうよ」

ニコニコしながら、サキアが言う。

「でも…どうやって?」

裕太が聞くと…彼女は裕太を振り向いて

「それを探しに行くのよ」と言った。

「なんだぁ~」

せっかくその気になっていたジュンペイが、気が抜けたような

顔になる。

「がっかりすることは、ないわ」

いきなりマリさんが、ジュンペイに向かって言う。

「あなたたちが、ここに来た…

 ということは、帰る道も、必ずどこかにあるはずよ」

なぜだか、自信満々な顔をして言った。


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