第358話 因縁

「グズグズしていると、あの子が危ない!

 ここは、この子に…頑張ってもらわないとね」

 サキアさんは今度は、ファルコンの頭に手を触れた。

(うわっ、噛みつかれる!)

物怖じしないサキアさんに、慌てる裕太だが…

その瞬間、ブワッとサキアさんの髪が逆立った。

(なに?)

一体、何をしようとしているんだ?

ファルコンも、噛みつくどころか、じぃっとサキアさんを見つめると、

すぐに目を閉じる。

ブワァ~と、長い黒髪が風にあおられる。

(えっ、なに?)

まるで、吹き飛ばされそうなくらいに、強い風が吹き、裕太はあわてて

ファルコンにしがみつく。

「シェーラめぇ!

 私をコケにするとは!

 許さん!」

 サキアさんの目が、燃え盛る炎のように、紅い光りを放つ。

まるで、その場を焼き尽くしそうな勢いだったので…

「あ、あのぉ~」

裕太はおびえながらも、声をかける。

「シェーラさんは、なぜ、そんなことをするんですか?」

戸惑いながらも、サキアさんを見る。

「えっ」

裕太の存在に気づいたのか、

「あっ、あぁ~」

ふいに、困った顔になった。

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