第145話 いざ、冒険の旅へ!

「脅かすなよぉ~」

 ミナトがひと声上げると、ヒョイヒョイと飛び跳ねるようにして、

仲間たちに近付く。

持っているライトを、そちらに向けて、裕太たちも追いかける。

そこには、少し前に別れた、ミナトの仲間たちの姿がはっきりと

見えていた。


「やっと、来たな!」

 にぃっと笑って、ハヤトが手を高く掲げる。

「会って来たか?」

「あぁ」

ひと足先に、ミナトはミアたちの側に近寄る。

「で、準備は出来たか?」

なぜかミナトは、ミアに向かって声をかける。

「あぁ、手回しをしておいたよ」

ガーディアン随一のジャイアンことタケシが、ミナトに向かって

声を張り上げる。

「サキアにも…話を通しておいたわ」

4人の後ろから、マリさんの声が聞こえてきた。

「えっ、サキアさんに?」

思わず裕太が、口をはさんだ。


「よっ!」

タケシが裕太たちに向かって、ニヤリと笑ってみせる。

「キミたち、あのトオへ行くんだって?」

大柄だけど、とても人のよさそうな笑顔だ。

「すごいなぁ~勇気があるなぁ」

わぁ~と裕太とジュンペイを、取り囲む。

(いつの間に、そんな話になったのか?)

大の大人たちが、楽しそうに子供を取り囲んで、盛り上がっている。

「ボクたちは…だてにこの辺で、暮らしているんじゃあないんだぜ」

タケシが得意そうに言うので…

そうなのか、と裕太は思う。

「そうそう!あの辺り…近付いちゃいけないと言われてたけど、

 しょっちゅう遊びに行ったりしたもんなぁ」

「あっ、おまえも?」

「もちろんさぁ~」

 ミナトとハヤトが突っつき合って、ケラケラと笑う。

「あの頃、ボクたちも…何にもわかっていなかったからなぁ~

 でも、危ないから近付くなって、言われていたんだ」


 この人たちは、何の話をしているんだ?

よく見ると…不思議なマークのついた穴の傍らで、男たちは

肩を叩き合って笑っている。

キョトンとしている裕太たちを目にすると

「あっ、すまん、すまん!」

笑いながらそう言い

「この近くに、トオに通じる通路があるんだ」

と、マリさんを振り返った。

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