第146話 さぁ、竜の通り道を目指せ!

 ここから抜け道があるのなら…

なんでわざわざ、キヨラさんの所へ行ったんだ?

裕太は疑問に思う。

だがそんな裕太に気付いたのか、

「一応、キヨラさんにも、会わせないといけない、と思ったんだ」

ミナトが穏やかな顔をして、そう言う。


「キミたち、見ただろ?竜の通り道!」

 音もたてずに、スッとハヤトが、裕太たちの前に近付くと、

光るまなざしで2人を見る…

「えっ」

一瞬、何を言っているのか、わからない…

「竜の通り道?」

「ほら、あの井戸だよ!」

あの井戸?

あの井戸って、キヨラさんの所の?

「あれ?」

ゴォ~ッと激しい音と共に、風を巻き上げるようにして、

確かに大きな物体が、飛んで行った…というのを、

裕太はふいに、思い出していた。


「あそこは、竜に会うと、願い事がかなう…という言い伝えが

 あるわ」

にこやかに、マリさんが言う。

「えっ、そうなの?」

早速ジュンペイが、反応する。

「ということは…ボクたちの願いも、かなうってこと?」

やった!

ジュンペイは、裕太に向かって、親指を立てる。

「そうよぉ~きっと、そうなんだわ!」

ニコニコとミアさんも、裕太に向かって微笑む。

「やったぁ~!」

ついに、帰れる!

思わず裕太はジュンペイと、ハイタッチをする。

「喜ぶのは、まだ早いぞ」

すぐさまハヤトが、裕太に向かって低い声でそう言う。

(何だか、この人、苦手だなぁ)

チラッとハヤトを見上げると、裕太はジュンペイを振り返る。

ジュンペイはいつもと変わりなく

「そうなの?」

のん気な顔をしている。

「とにかく…そこへ行ってみよう」

ボソリとそう言うと、クルリと背中を向けた。

「とにかく、行くか?」

ミナトが、裕太たちに声をかける。

「うん!」

ジュンペイがピョコンと頭を振るので、ミナトも嬉しそうに

うなづく。

「ここからは…何があるか、わからないぞ!

 はぐれないように、ちゃんとついてこいよ!」

急に真面目な顔になると、裕太たちに向かって、声をかけた。


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