第147話 謎のマークのある洞窟…

「さぁ、こっちへ」

 奇妙なマークの下に立つと、ミナトは裕太たちを振り返る。

何のマーク?

ペンライトをあてると…岩に何か刻まれている。

ロープ?

糸?

なんだ、あれ?

じぃっと見上げていると、

「いいから、行こうぜ」

ジュンペイが、ピョンと洞窟に足を踏み入れる。

待ったく気負うことなく、スルリとその下を入って行く。

(ホントに、ジュンペイは…)

それでも、彼の怖いものなしのスタンスが、羨ましい裕太だ。


 この地下が、遊び場だった、というだけあって、ミナトたちは

もの慣れた様子で、スタスタと暗いトンネルを抜けて行く。

そういえば…キヨラさんが言っていた、

『この世界には、あり得ないことが、たくさんあると思うけど…

 怖がらずに進みなさい!

 自分の信念のままに…』

その通りなんだ、と裕太は思う。


「気が付いた?」

 ぼぅっと上のマークを見上げる裕太に、マリさんが声をかける。

「あっ」

みんなはすでに、洞窟の中に入って行くのだけれど、マリさんは

みんなから離れて、裕太たちのことを気にしていたようだ。

「いや、あの…」

何と言ったらいいのかわからず、その彫刻を見上げている。

 ゴツゴツとした岩の上に…

唐草模様のように、長いロープのようなものが交差して、

からまり合い、真ん中で、ヘビのような顔をもたげている。

(ん…?)

よく見ると…あれは、竜?

「あっ」

声を上げる裕太に、

「そう」

マリさんは、ニッコリと微笑む。

「ここはね、龍神様をお参りする道として、作られたのよ」

そう言うと、真ん中の交差する竜の顏を見上げた。

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