第170話 それは秘密の…?

「え~っ!」

 秘密の地下通路を、最初から知っていれば…

何もここまで、苦労しなくてもすんだものを…

裕太はひと声上げると、一気に力が抜けた。

(ま、それはそれで、楽しかったけどね)

そうは思うけれども。

 一方ジュンペイは、もうこの状況に飽きたのか、

先ほどからファルコンとにらめっこをしたり、

ショーンの羽根をさわって、何事か話し込んでいる。

 それをチラリと見ると、サキアさんはニッコリと微笑む。

「でも、そこはね…ごみの集積所や、一時的な霊安室も

 あるから、やっぱり行かなくて、正解だったのかもね!」

にぃっと、いたずらっぽい顔をする。

「れいあんしつ?」

 聞きなれない言葉に、裕太はキョトンとする。

ふいにクルリとジュンペイが振り向くと、

「バカだなぁ~それって、死体置き場のことだよぉ」

平然とした顔で、ズバリと言ってのける。

「えっ!」

思わず、声がひっくり返る。

裕太は顔を引きつらせた。


 サキアはそれを見て、謎めいた笑みを浮かべる。

(なんでわざわざ、そんなことを言うんだ?)

言わなくてもいいのに~

裕太は、聞かなきゃあよかった、と思う。

「そりゃあ、そういうトコって、人の出入りがあんまり

 ないからだろ?」

 ずいぶん詳しいけれど、ジュンペイは行ったことが

あるのか?

やけに落ち着き払った顏をしている。

パチパチパチ…

 振り返ると、サキアさんがこちらを見ている。

「あなた、よく知っているわね!」

ニッコリすると、2人に向かい

「そうなの!人の目が届かない場所でもあるのよ。

 何しろ、各階につながるエレベーターもあるし。

 もちろん一部の人しか知らない、階段もある…」

「えっ?」

そんな部外秘のことも、しゃべってもいいの?

裕太たちの反応に気をよくして、つい面白そうに話すと、

「サキア様!」

さすがのボディーガードも、たまりかねたのか、思わず

制止するように、口をはさんだ。

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