第169話 秘密の通路

「それは、そうでしょ?」

 だがサキアさんは、平然としていた。

「君たちは、別々の人間でしょ?

 だったら、マークの模様も、同じわけがないでしょ?」

なんで?

同じスタンプなのに?

ヘンだなぁ~

裕太は頭をかしげて、ジュンペイと自分の腕を見比べる。

「もう1度、見せて!」

スタンプを見ようと、サキアさんを見上げると

「それは、ダメよ」

なぜだかわからないけれど、ささっとスタンプを、帽子の中に

放り込んだ。


「これはね、あなたたちを証明するものだからね!

 消えないように、気をつけてね」

 サキアさんは、2人のスタンプを見て言う。

「もし…消えたら?」

ゴクリ…と唾を呑み込んで、裕太が聞く。

「まぁ、そう簡単には消えないけどね」

チラリと裕太を見ると、ニッと笑う。

「そりゃあ、もしも消えたら…

 速攻 お掃除ロボットが、あなたたちを排除しに来るわねぇ」

ゾッとするような笑みを浮かべて、裕太の目をじぃっと見詰める。

「えっ…」

それって、どういうこと?

一瞬、そう思う。

そういえば…前に町でお掃除ロボットを見掛けたけれど…

あれは、サキアさんの持ち物だって、言っていたけれども。

あんな感じに、自分たちも片付けられてしまうのだろうか?

 何だか急に、寒気を覚えて、ジュンペイを振り返る。

ジュンペイは、さして気にならない様子で、

「ふぅーん」と言いながら、トオの入り口をのぞき込んだ。


「あなたたち…地下からここへ、来たんだったわね」

 サキアさんはじぃっと2人を見る。

「そうです」

なんで、そんなことを聞くのだろう。

確か、知っているはず、と思う。

「あそこはねぇ~あなたたちには言ってなかったけど、

 秘密の貨物通路とつながっているのよ」

意味あり気に、ニヤリと笑って、そう言った。

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