第84話 計画は素早く隠密に!

 何とか前からの段取り通りに、いきなり

「あっ」と声を上げる。

「悪い!ちょっと、鍵をかけ忘れた」

「なんすか、先輩~

 先輩でも、そんなことがあるんですかぁ~」

やけに軽い口調で、ため口をきくので、ややムッとする

けれど…今日はうまくいきそうな気がする。

「めったに、ないけどなぁ」

わざと頭をかしげてみせる。

「戻りますか?」

「あっ、お前はいい」

あわてて押し止める。

(お前が来たら、まずいんだ)

ひそかに、顔をしかめてみせる。

「すぐに戻るから、先に回っていてくれ」

「そうっすか?」

この後輩…かなり頼りないのだが、

まぁ、それがいい…

今回に関しては、うまくいきそうだ。


 先に後輩の後ろ姿を、見送った後…角を曲がって、

ライトを少し動かして合図する。

 すると暗闇から、ぬぅっと人影が現れた。

「すまない」

スラリと背の高い、迷彩柄が目に入った。

「今回だけだぞ。

 さっきの爆発…お前たちのせいだろ?」

声をひそめて、警備員が声をかける。

「いやぁ~いつもすまないねぇ」

それには答えず、ニヤリと笑ってみせた。

「なぁに、お前の頼みなら…仕方がないだろ?」

帽子に手をやり、目深にかぶり直す。

 すると今度は、足音もなく…暗闇から迷彩柄の男たちが、

染み出るように現れた。

「こっちだ」

男は、仲間に声をかける。


 この警備員は、以前から…この地下の研究施設について、

疑問を持っていたのだ。

たまたま見回りの時に、チラリと見かけた、異形の生き物を

見て…

彼らの活動を、影で支えることにしたのだ。

「あまり、派手なことはするなよ」

「わかってる」

「彼は、こっちだ」

そう言うと…スタスタと反対側の通路に、彼らを誘導した。

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