第220話 何はさておき、腹ごしらえだ!

「そんな泥棒みたいなマネ…出来るわけ、ないだろ?」

 そんなことをしたら、オバサンが言ってた《さっき来た子》と

同じになってしまう。

(おそらくその子は、何か盗ったんだろうなぁ)

何となく裕太はそう思う。

「まずは、様子を探ろう。

 もしかしたら、巨人がいきなり帰ってきたら、危ないだろ?」

裕太はジュンペイを、諭すように言う。 

「おまえ…いつからそんな、薄情なヤツになったんだよぉ」

ジュンペイの反応に、信じられない…と裕太は思う。

「だって、ここはまだ、1つ目だろ?

 さっさとしないと…いつまでたっても、上の方へは行けないぞ」 

 さっきどこかへ行ったショーンも、ファルコンも、今度こそ

自分たちを置いて、帰ってしまうのかもしれない。

だがジュンペイもまた、このまま帰ってしまうのはもったいない、と

裕太を何とか説得しようとしていた。


「そうだなぁ~」

裕太の言うことも、もっともだ。

でも…

「ね、お腹は空かないか?

 マーサに頼んで、弁当を作ってもらったらいい、

と思わないか?」

ふいに思い付く。

だけど…

(これって、名案じゃないか?)

我ながら、これはいい!

(冴えてる!)

そう思う。

「弁当?」

ひと声上げたとたん、

ぐぅ~

ジュンペイの腹が、情けない音をたてた。

「あ~たしかに!腹が減ったなぁ」

思わず声を上げる。

何しろここまで来るのに、ツルをよじ登り、あの洞窟を抜けて

来たのだ…

ジュンペイの顏を見ると、

「な、そうだろ?」

なぜか満足そうな顔でうなづく。

「まぁ、ボクも、喉がカラカラだなぁ」

自覚したとたん、猛烈に、どうしようもなく、お腹が空いてきた…

「さぁ」

ジュンペイは、裕太の背中を押すと、

「とっととトイレに行ったら、台所へ行こうぜ」

まったく、どうしようもないなぁ~

自分のことはさておいて、ジュンペイはヤレヤレ~と肩をすくめる。

「悪いな」

ポンと裕太が、ジュンペイの肩をたたくと、

「まぁ、いいさ!」

ジュンペイは、裕太と肩を並べた。



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