第221話 鬼のいぬ間に?

「あら、どこへ行ってたの?」

 裕太とジュンペイが、雁首揃えて台所に駆け込むと…

マーサはザバザバと、水しぶきをあげて、せっせと何かを

洗っていた。

ビシャン!

裕太たちの方にも、水が散ってくる。

ずいぶん、ワイルドだなぁ~

2人はあわてて飛びのいた。


「あのぉ~巨人さんは、まだ帰ってきませんか?」

 気になるので、一応聞いてみる。

するとマーサは、何か勘違いをしたのか、こちらを振り向くと、

「あぁ、ごめんね!

 まだなのよ。

 一体、どこで道草を食っているのかしらね!」

だが、言葉の端々に、心配している様子もなく、かえって

リラックスしているような、のんびりとした気配がする。

もしかしたら、この人も…

いない方が、気が楽なのかもしれない。

裕太は、まだ見ぬ巨人のことを想像した。

「あのぉ~お願いがあるんですけど」

巨人がいないことをいいことに、裕太は勇気を振り絞って、

マーサに声をかける。

「なによぉ、そんなにあらたまって!」

アハハ…

彼女は楽しそうに笑う。

「ボクたち…迷子なんですけど、お腹がすいちゃって!

 おにぎりか何か、分けてもらってもいいですか?」

ひとまず何か、食べさせてもらおう…

遠慮がちに、頭を下げた。


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