第219話 さて、お次の一手は?

 さすがに、このお屋敷の見取り図があるわけではない

ので、どこになにがあるのか…なんて、まったくの

出たとこ勝負だ。

(それにしても…巨人は、どこに行ったんだろう?)

その疑問だけが、裕太には引っかかっていた。

まさか、どこかにいる?

隠されている?

そんな考えが、頭をよぎったけれど…

あえて気にしないことにした。


「ね、一旦、オバサンの所へ戻ろう」

せっかく階段下で、合流したのに、すぐ裕太はキッパリ

とした口調で言う。

「え~っ、なんで?

 せっかくのチャンスなのに!」

目の前には、階段だ。

そこを上がれば、何かしら見つかるかもしれない。

「おまえ、気は確かか?」

バカ言ってる場合じゃあないよ!

臆病風に吹かれたのか?

早速ジュンペイが、噛みついた。

「だって!」

裕太は言葉を探りながら

「ほら!ショーンが言ってたでしょ?

 長丁場になるかもしれないから、食料や水を調達しなく

ちゃあって」

ふいにひねり出した答えだけど…

確かにトオの中で、食べ物や水を手に入れられる保証はなく、

かなり困難だと思われた。


 だがジュンペイは、そんなことよりも、早く探検したくて

たまらない。

「なんだよぉ~そんなの、お宝を見付けた後、遠慮せずに

 頂けばいいじゃないかぁ」

おまえ、盗賊か?

泥棒みたいなマネ、平気でするのか?

あくまでも、ジュンペイは平気な顔で、こともな気に言う。

「それに…巨人が、いつ戻るかわからないし…

 後はないかもしれない」

珍しく、慎重になる裕太なのだった。

 


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