第162話 やっとめぐりあえたものの…
「これはねぇ、ドローンといって、空から写真が撮れたり、見たり
することが出来るんだ」
得意そうにジュンペイが、ミナトたちに見せる。
「ほぉ~」
感心したように、各々うなづいて、まるで未知の恐ろしい物を
見たように…じぃっとしている。
だがジュンペイは、大切な宝物をようやく見つけた…という喜びに、
見たことのないくらい、上機嫌だ。
鼻歌を歌いそうな勢いで、ぎゅぅっとそれを抱き締める。
「で、それは…飛ぶのか?」
興味津々で、ミナトが聞く。
どうやらさわりたくて、ウズウズしているようだ。
「もちろん!」
すぐに大きくうなづくと、
「おぉ~」
ミナトたちは、どよめいた。
ワクワクとした、期待のこもった瞳で、子供のようにジュンペイに
注目する。
ジュンペイも、飛ばしてみせよう…とさわっている。
「あれっ?」
だが残念なことに、電池切れなのか、部品の故障で動かないようだ。
「なんだぁ~動かないのかぁ~」
ちぇっ!
ひどくガッカリとした声を出す。
せっかく見せようと思ったのに…
「なんだよぉ~動かないのか?」
ハヤトの声が、ひときわ大きく聞こえた。
「見掛け倒しだなぁ」
バカにしたように、ヘッと笑うので、悔しさにジュンペイは顔を
赤くする。
「そんなこと、ない!
充電さえ、出来れば…」
ムキになったように、ジュンペイが言った。
でも、仕方ない…
何しろ、どういう経路かわからないけれど、ここにたどり着いたの
だから…
せっかくオジサンに、直してもらったのにな!
試運転するはずだったのに…
悔しさで、こぶしをプルプルと震わせた。
「へぇ~そうなのかぁ?」
やけに絡んでくるので、ミナトも
「おい、止めろ」とハヤトを止める。
「もう!何やっているの?
それよりも、もっと大切なことがあるでしょ?」
リンとした声で、マリさんが言い放った。
「あっ」
叱られた子供のように、ハヤトがうなだれる。
(なんだぁ~大人のくせに、子供じゃないかぁ)
ジュンペイは、ヘラヘラと笑った。
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