第163話 さぁ、行くんだ!冒険の旅へ!

「おーい!」

 待ちくたびれたのか、サキアさんの声がする。

「どうするのぉ~?

 来るの?来ないの?どっち?」

こちらに向かって、声を張り上げている。

「あっ、そうだった!」

すっかり新しいオモチャに夢中になっていた一同は、ハッと我に

返る。


 目の前のガケは、やはり何度見ても、深くて険しい。

走り幅跳びでも、おそらく墜落してしまうだろう…

サキアさんは先ほどから、大きく手を振って、おいでおいでを

している。

「行くか」

ジュンペイが、裕太に声をかけると

「うん」

すぐさま裕太もうなづく。

ショーンは裕太たちの方を振り向くと、

「じゃあ…私が裕太くんを抱えよう。

 キミはファルコンに、つかまればいい」

そう言うと、竜の耳元に何事かをささやく。

「さぁ、時間があまりないぞ!

 キミは早く、ファルコンの背中に!」

せかすようにして、言う。


「おーい、忘れ物!」

 ミナトはあわてて、裕太のリュックに、足元に並べたものを

詰め直す。

「そうそう!何が役に立つのか、わからないもんな!」

ハヤトもうなづくと、何かをその中に突っ込む。

ジュンペイと裕太は、自分たちのリュックをしっかりと、背中に

背負う。

「気を付けて、行くのよ!」

マリさんが、2人に声をかけた。


「ねぇ~マリさんは、行かないの?」

少し不安そうな顔で、裕太が聞くと、マリさんは頭を振り

「私たちは、ここでしないといけないことがあるのよ!」

キッパリとそう言う。

「君たちは、大丈夫だ!

 この竜が、きっと待ってくれるよ」

ミナトがファルコンに、軽く手を触れると

「たのんだぞ」とささやく。

「さぁ、行くぞ!」

ショーンが叫ぶと、大きく翼を広げる。

「2人とも、しっかりとつかまれ!」

そう叫ぶと、フワッと浮かびあがった。

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