第161話 なんで、ここに?

「あっ!」

「えっ!」

「なんで?」

 思いがけないものを見て、裕太とジュンペイが、思わず声を

もらす。

「なんだ、やっぱり君たちのか?」

ヒョイと高く、ショーンは円盤を掲げる。

(なんで、ここに?)

それに、どうして…ショーンが見つけたのか、今ひとつよく

わからない。

「どこにあったの?」

遠慮がちに、そう聞く。

「そこで、見つけた」

まったく含むところもなく、ニッと笑うと、裕太に

「ほい」と手渡した。


「なんでよ、それ!」

「空飛ぶ物体なのか?」

ざわつくミナトたちを見て、ジュンペイはクスクス笑う。

「えっ、知らないの?」

(もしかしたら、UFOも、フリスビーも、ドローンも…

 この世界には、存在しないのかもしれないなぁ~)

裕太はボンヤリと、そう思う。

きっと、ここと自分たちの世界では、生活様式とか、文化とか

ルールとか、異なっているのかもしれない。

(何しろ、住む世界が違うからなぁ)

なので、ミナトたちの反応が、裕太にはとても新鮮だった。

「それ…君たちの持ち物なのか?」

目を極限まで大きく見開いて、ミナトが聞くので、ジュンペイはクスクスと

笑う。

「うん…これは、ジュンペイのだよ」

 なくした、と思っていたものが、まさかこんな所にあるなんて…

それにしても、どうやって入り込んだんだ?

裕太はさらに、驚く。

(まさか…ボクたちと一緒に、流されてきたのか?)


 それならば、気を付けないといけない。

もしかしたら、自分たちだけでなく、他にもここに流されてきた人が、

いるのかもしれない…

そうだとしたら、大変だ…

裕太はグッと唇をかみしめた。

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