第160話 正義の味方?その名はショーン
ミナトたちは、やや緊張気味で、
「あぁ」とか「えぇ」とか「そうだ」とか言って、
この羽根のはえた男性のことを、怪しむように見ている。
ジュンペイがピョン!と跳ねるように近付くと
「あのね、ボクたち…あそこへ行きたいんだけど」
まっすぐに、トオの方を指差した。
ショーンは穴の外を眺め、目の前の崖を見下ろすと
「あぁ、なるほど」
自分が呼ばれた理由を納得する。
「それで、一体何人、運べばいいんだ?」
すぐさまミナトたちを見る。
するとミナトは、ショーンの方を向き直ると
「ボクたちはいい。
この子たちを、頼む」
リーダーらしく、キッパリと言った。
「えっ、ミナトさんは?」
てっきりミナトだけでも、ついて来てくれる…
と思っていたので、裕太は少しガッカリする。
「もちろん、ボクは行かないよ!
この人がいれば、大丈夫だろ?」
そう言うと、
「頼んだよ」とショーンとファルコンを見る。
「えっ」
本当に、誰もついて来てくれないの?
裕太はガクリとする。
(せめて、ミナトだけでも、ついて来てくれればいいのに…)
「何を言っているんだよ!
もともと2人で、あそこを目指していたんだろ?」
ポンとミナトは、裕太の背中を叩く。
「いいのか」
その様子に気付いたのか、ショーンが順繰りに、
ミナトたちを見る。
「もちろん!」
ハヤトたちも、うなづいた。
「それよりも…あの子たちを、よろしく!」
ニッコリと微笑みながら、ミアが言うと…
一瞬、ショーンの目が彼女で留まり、ややはにかんだ顔に
なった。
あれぇ…?
裕太は、奇妙に思う。
(ショーンも、やっぱり男なんだ!
きれいなお姉さんが、好きなんだぁ)
何だか、意外な気がする…
ショーンの背中には、翼があるので、男性というよりは、
天使のような、中性的な存在…と裕太の中では認識
していたのだ。
「それよりもさぁ、これを拾ったんだけど!」
突然ショーンが、丸い物体を高く掲げた。
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