第159話 呼ばれて、現れ、ジャジャジャジャーン

「あっ!」

 すっかり忘れていたぞ!

裕太は笛を握り締める。

「そっかぁ~」

裕太は1人うなづくと、思いっきり息を吸い込んで、

ピーッ吹いた。


「なんだ?」

「なんの音?」

 さっきまで、花火をめぐって、話していたミナトたちも、

こちらを振り返る。

「けっこう、大きな音だね」

裕太がジュンペイにささやくと、

「ホント!

 ねぇ、誰を呼んだの?」

耳を指を突っ込んだまま、ジュンペイが言う。

「誰ってそれは…」

 忘れたのか?

ジュンペイに言い聞かせようとしたところで、

「おまたせ!」

いきなり背後で、声がした。

「あっ!」

「来た、来た!」

「ショーンだ!」

 一体、どこから現れたのか、大きな翼を揺らして、裕太たちの側に

降り立つ。

「呼んだ?」

大きくバサッと翼が揺れると、思わず裕太はショーンを見つめる。

「うん…まぁ…」

まさか本当に、来るとは思わなかった。

子供たちは、驚いて後ずさっていた。

「ホントに、来るんだぁ」

ポカンと口をあけて、ジュンペイはショーンを見る。

 何を言っているんだ?

ショーンはスタスタと、2人に近付くと

「当たり前だろ?

 呼ばれたら、ふつう…来るだろ?」

彼はにこやかに、そう言った。

一同の視線をものともせず、今度はファルコンに近付くと

「やぁ~ファルコンも、いるじゃないかぁ」

妙に明るいテンションで言う。

「おやぁ~ずいぶん、にぎやかだと思ったら…

 みなさん、おそろいで!」

人懐っこい笑顔で、ミナトたちに向かった。

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