サキアの休日…34

 ミナトにも、キヨラと同じように言うと

「なになに?

 もしかして、恥ずかしくて言えないこと?」

どう勘違いしているのか、こちらはこちらで、ヘラヘラと笑っている。

「キモッ!

 何を言っているのよ!

 10年早いわ!」

サキアが目にも止まらぬ早さで、一発蹴りを入れる。

とにかく、各々を呼び出すことに成功した。

「絶対に、このことは…キヨラ(もしくはミナト)に言わないでよ」

そう釘を刺すのは、忘れなかった。


「なになに?何なの?」

 これって、ドッキリ?

珍しく、はしゃぐキヨラに

「いいこと!絶対よ!」

サキアは笑ってみせた。


「あっ、来た!」

 いつもの三人の待ち合わせの場所に、最初に来たのは…キヨラ

だった。

「大丈夫だった?」

キヨラの周りには、いつも人がいるので、難しかっただろう…

と思われたのだが。

「ううん、大丈夫!

 丁度ね、誰かと話したい気分だったの」

何だか、子供の頃に戻ったみたい!

心なしか、キヨラの頬が、赤く色づいていた。

 キヨラはその時…本格的に、竜につかえる巫女としての、修行を

している最中だった。

時折、こうして瞑想という名目で、外の空気を吸うことを許されて

いる。

だけども、本当に遣い女として、神職につくようになってしまったら…

こうして、自由に会うことも、かなわなくなる。

「大丈夫だった?

 新しいお付きの人…うるさいんでしょ?」

代々龍神に仕える家の子孫は、決まっているらしく…

それなりの伝統としきたりで、厳粛に受け継がれているのだ。


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