サキアの休日…35

「いいのよ!

 たまには外に出ないと…息がつまってしまうもの」

 緋色の瞳をサキアに向けると、キヨラはにっこりと微笑んで

みせた。

「ねぇ~初めて会った時のこと、覚えてる?」

サキアはさり気なく、話を変えようとする。

「何よ、急に」

クスクスとキヨラは笑う。

「センチメンタル?

 似合わないわよ、サキアには!」

この幼なじみには、小手先のごまかしは、通用しないようだ。

「そんなんじゃあないわよぉ」

そう言いながらも、相変わらずカンが鋭いなぁ~と、内心ヒヤヒヤ

していた。


「あれはね、そもそも…ミナトがきっかけだったの」

 サキアが話し出すと、

「え~、そうだったの?」

そんなこと、初めて聞いた…と、キヨラは驚いてみせる。

「てっきりサキアが、私を…

 見つけてくれたのか、と思ったわ」

そう言うと、

「いやぁ、衝撃の事実だわ」と笑う。

「そうじゃないの、ことの始まりは、ミナトだったの」

サキアは岩に腰を下ろすと、清水の湧き出る泉に、足を浸した。

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