第152話 さぁ、どうする裕太!
だがミナトは、あわてることなく、妙に落ち着き払った顏を
している。
(何で、教えてくれないんだよぉ~
自分が連れて来たくせに!)
ジュンペイがブスッとしている。
こんなところで、ギブアップするのか?
だが、それはイヤだ!
裕太はそう思い、やや焦った顔で、何かないかと探している。
すると、なぜかトオの方の向こう側に、見覚えのあるシルエットが
見える。
(えっ、サキアさん?)
なんで、あんなところに?
なんで、あの人が?
何をしているんだ?
フシギに思って見ていると、
「ねぇ、何とかこっちへ、来るのよぉ~
あなた、何か持っているはずよぉ!」
口に手をあてて、裕太に向かって叫んでいる。
へっ?
ポカンとしている裕太に、
「ほら、何かもらったりしてない?
そのリュックの中に!」
じれったそうに、サキアさんが言う。
千里眼か?
まさか、超能力?
大きく手招きをする彼女に、そんな無茶な…と思う。
だけど、他に方法がないのだ。
するとミナトも2人を振り返ると
「君たち、何か持っているんじゃないのか?」
早く探してみろ、と言わんばかりにせっつくので、
「どうかなぁ?」
裕太はジュンペイを見た。
「あっ」
ジュンペイは、リュックに手を突っ込む。
その様子を見て、裕太も同時に
「あっ」と声を上げる。
「でも…こんなの、役に立つの?」
そう言って取り出したのは、なぜか金の卵だった。
「おまえも何か、持ってるだろう?」
ジュンペイが裕太を見る。
「えっと…なんだっけ?」
心当たりはないものの、一応ポケットに手を突っ込む。
ゴソゴソとかき回すと、ポケットからキャンディーと、
その包み紙と、ビー玉や、トランプが1枚、
あと、何かわからないような綿埃の中に…
不思議な素材の笛がポロンと転がり落ちて来た。
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