サキアの休日…26

「何を言っているのよ」

 もう決めたことなのよ、とサキアは静かにキヨラの手をはがす。

「ここにいても…私の未来はない。

 おそらく、私の本当の両親のように、おそらく政府と戦って、

 殺されるのがオチよ!」

「それは、そうだけど…

 わざわざ死にに行くような真似、しなくてもいいでしょ?」

 ね、考え直して…とキヨラが手を差し伸べる。

「何よ、私が失敗する、と決めているのね」

私は死なないわよ、と強気のサキアだ。

「私の運命は、私のものよ。

 私はこの…自分の運命を変えたいの」

そう言うと、まっすぐにキヨラを見つめる。

その口調の激しさに、キヨラのまなざしが揺れる。

「そう…わかった。

 でも、危ないことは、しないでね」

弱々しく微笑む。


「それよりも…あなたの方こそ、どうするの?

 まさか、このまま…竜神につかえるつもり?」

サキアはまっすぐに、瞳を向ける。

その目は、彼女の本当の気持ちを、読み取ろうとしているかの

ように、鋭いまなざしであった。

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