第449話 浦島太郎のように…

 まさか浦島太郎のように、ここに来て100年経った…

何てことには、なっていないよな?

ふいに、そんなことを裕太は思う。

「なんだ、そんなことを気にしていたのか?」

いきなりジュンペイが、大きな声で言う。

「ボクは、そんなこと、全然気にならないよ!

 何なら、もっとずーっと、ここにいてもいいくらいだ!」

ニコニコしながら、そう言う。

だが裕太には、その真意は分かっている。

「そりゃあ、勉強せずに済むからだろ?」

すぐに、言い返す。


 ジュンペイは、家に帰りたくないのだろうか?

裕太自身は、さすがに母さんのことは、怖いけれど…

だけど、じいちゃんには会いたいなあ~

ふいに裕太は、思い出している。

「まさか、母さんたち…

 ボクたちのことを心配して、探しているんじゃあないだろうか?」

神隠し…とか。

誘拐とか。

単身赴任の父さんも、心配しているのではないだろうか?

「大丈夫だよ」

なぜかショーンは、裕太に向かって、にこやかに微笑む。

「ここでの時間は…元の世界よりも、とてもゆっくりなんだ。

 だから心配いらないよ」

安心させるように、穏やかな声で言う。

「それに…たったとしても、ほんの数時間だ」

ショーンは、思いがけないことを言った。


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