第448話 トオは生きている?

 一体、どこへ連れて行ってくれるのだろう?

やはり裕太は、ワキワクする気持ちを押さえられない。

背を向ける瞬間、チラリとトオのてっぺんが光ったのが見えた。

てっきり、崩れ落ちたかと思ったのだけれど…

ここから見るかぎり、まったく変わりのない姿で、立っている。

ただ…不思議なことに、さっき見た時とは、形が違うような気がする。

どこが変わったのか、と聞かれても、どこがどうとはわからない。

ただ、わずかに変化しているように見えるのだ。


「あのトオは、生きている」

 いきなりファルコンの声が、頭に響く。

ハッとして振り返ると、竜の静かな瞳が、こちらを向いているのに、

裕太は気が付く。

「トオが…生きているの?」

思わず裕太が、口に出してそう言うと、

「そうだ。人間の欲望を食べて、成長をしているんだ」

ショーンがこちらを向いて、そう言った。

「生きて帰ることを許さないが、もし生きてそこを出ることが出来たなら、

 何かを失う代わりに、力を得て帰ることになるんだ」

 ショーンの言葉は、裕太にとって、どうもピンとこなかったけれども。

それでも何となく、わかるような気がする。

「あのね、ボクたち…ここへ来て、どのくらい時間がたったの?」

裕太は一番気になっていることを、思い切って口にした。

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