第185話 認証番号を押してください

 試しに、その扉を押してみたけれど、全くびくともしない。

(いよいよ、鍵の出番か?)

裕太は、ポケットに入っている鍵を、ギュッと握り締める。

 ドックンドックンドックンドックン…

心臓の鼓動が、急に早くなる。

大きな扉の前に立ち、あらためて上を見上げる。

木なのだろうか?

金属なのだろうか?

それとも…なに?

見たこともない、素材で出来た扉の前に立つと、フゥ~ッと

大きく息を吐く。


「認証番号を」

 いきなり、どこかで声がする。

「へっ?」

ニンショウバンゴウ?

それって、なに?

聞いていないよ?

いきなりの壁に、裕太とジュンペイは顔を見合わせる。

「カギだ!」

その時、ショーンが裕太に向かって、声を張り上げた。

カギ?

「これ?」

これで、本当にいいの?

ショーンがなぜか、うなづいている。

ダメ元だ!

やるだけ、やってみよう…

鍵をノブの辺りに、そぅっと押し当てた。


 すると鍵が突然白く光り、

パァーン!

何かがはじける音がした。

なになに?なんなの?

真っ白なイナズマみたいな閃光が走る中で…

「認証いたしました」

合成された機械的な声が、聞こえて来た。

(これって…まさか、サキアさんの声?)

もちろん加工されているとは思うけれど…

何となく彼女の声の癖のようなものを感じた。

 その時、耳をつんざくような轟音と共に、白くまぶしい

爆発のような光に…

裕太は思わず顔をそむける。

パァーン!

さらに何かが、割れるような音がした。

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