第278話 疑惑のジュンペイ
「なんだよぉ」
ポカンとして、ジュンペイの立つ位置を見つめる。
ジュンペイは得意そうにして、その場で待ちかまえている。
(確かにこれなら、楽々中に入れそうだ)
予想外の大きさに、裕太は呆然として、その暖炉を見つめる。
「ね、この中に…入るの?」
ジュンペイに向かって、確かめる。
それにしても、これは…
今、本当に使われていないのだろうか?
見たところ、灰の形跡はどこにもない。
まめに掃除しているにしても、まったく使っていないようだ。
「そうだよ!」
ジュンペイは得意気に、にぃっと笑う。
これならば、さほど汚れることもなさそうだ。
裕太は少しホッとしていた。
だけど何で、ジュンペイはこのことを知っているのだろうか?
探る目付きをして、じぃっとジュンペイを見ると
「そりゃあ、もちろん…見たんだよ」
あっさりと認める。
「見た?」
「うん」
うなづくジュンペイに、それはおかしいぞ、と裕太は思う。
だって、カギがかかっていたのに?
どうやって、見たんだ?
ポカンとして、裕太は口を半開きにする。
「何を?」
ジュンペイに向かって、抗議するように声を上げる。
「いちいち、説明しないといけないのか?」
めんどくさいなぁ~
ジュンペイは、キュッと顔をしかめ
「何をって、あそこから人が出て来るところを見たんだ」
それで、いいだろ?
ジュンペイは、裕太に背を向けた。
「でも!」
どうしても納得がいかない、と裕太まだ食い下がる。
「だって、ドアが閉まっているのに、どうしてそれが、見えるんだ?」
それは、おかしいだろ?
今度は真面目な顔つきで、ジュンペイに向かって、問いかける。
するとジュンペイは、意味あり気にニヤリと笑った。
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