第150話 さぁ、どうしよう?

 これが、トオ?

今まで見上げても、まるでバベルの塔のように、頂上が

見えない。

とてつもなく、高い建物のように思っていた。

でも、目の前にある…これは?

あのトオなのか?

裕太は口をポカンとあける。

ジュンペイはというと、穴のギリギリまで行くと、下を

見下ろす。

「ひぇ~すごいなぁ~

 ここって、なに?

 トオの中?」

無邪気に、ミナトに話しかける。

「ちがうよぉ」

ニヤニヤしながら、彼は仲間たちを見守る。

「ここはね、非常口だ」

「えっ?」

「なんだって?」

 何がどうして、そうなるの?

 どういうことなんだ?

目の前の切り立った向こうに、目をやる。

まぶしくて、よく見えないけれど、どう見ても、ただの山の

ように見える。

違うのは…その土の色と質感だろうか?

琥珀色?

いや、漆黒?

光りの加減で、様々な色に変化する。

(一体、何のために、こんな場所が?)

裕太には、まだよく飲み込めない。

まるで、ハリウッド映画の張りぼてのセットのようだ。


「ねぇ、いっそのこと…飛び移ればいいんじゃない?」

 ジュンペイは、軽い調子で言う。

(無理に決まっているだろ?)

野生児ジュンペイなら、可能かもしれないが…

たとえターザンのように、ロープで乗り移ろうとしても、

崖の手前で、寸足らずになりそうだ。

「そんな簡単に出来るわけが、ないだろ?」

裕太は冷ややかな目付きで、キッパリと言い返した。

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