第151話 さて、どうしよう?

 ジュンペイの言う通り、うまく飛び移れるのなら、話は早い

のだが…リスクが高い。

運動神経には、すこし自信のある裕太も、さすがに足がすくんだ。

敵に捕まるのも、イヤだが…

もし、万が一着地に失敗して(飛距離が伸びず)

地面に叩きつけられたら…と思うと、どうしてもその勇気が

出ないのだ。


「どうした?

 もう、ギブアップか?」

 ミナトがこちらを向いて言う。

それを認めるのは、悔しいけれど、他に道がないか…

探るしかない。

だがジュンペイは

「そんなこと、あるわけがないだろ!」

意固地に言い張っている。

お先真っ暗、これでジエンドか?

(どうしたらいいんだ?)

ミナトの方を見るけれど、裕太に向かい何も言わない。

(せめて、何かいいアイディアはないか?)

裕太は、後ろに控える彼らを見つめた。


「ここはね、誰も通ったことのない、非常口なの。

 確か昔は、吊り橋を渡してあったはずなんだけど…」

困った顔をして、ミアが言う。

イジワルをしているわけではないようだ。

「たぶん、あのトオが完成した時に、はずされたみたいね」

ミナトをちらりと見ると、やっぱりダメかぁ~と、ため息を

ついた。

「で、どうする?あきらめる?」

じぃっと、ためすように裕太たちを見る。

「確かになぁ」

ハヤトも崖を見下ろすと、トオとその間のガケと見比べている。

「ここなら、誰にも見られずに、侵入出来るんだけどなぁ」

とても残念そうにする。

せめて、ロープとか、梯子か何かないのか?

裕太は辺りを見回した。

「実はね、この近くの橋も、やっぱり壊されたんだ」

まったく手回しがいいよな、とタケシも言う。

下を見下ろすと、頑丈なツルが、青々とした葉を茂らせて、

垂れ下がっているのが見える。

「ねぇ、あれが使えないかなぁ」

裕太がしゃがみ込んで、手を伸ばす。

「え~っ、でも、どうやって?」

「そうだなぁ~向こうに投げて、うまく引っかけることが

 出来たらなぁ」

ジュンペイも、うーんと考え込んでいる。

 投げ縄か?

 それともなに?

ロープはあいにく、奪われたままだ。

パチンコもそう…

ボクたちの道具…何かあったか?

困り果てた裕太は、助けを求めるように、ミナトを見た。

向こうの方から…

竜が飛んでいるのが、チラリと見えた。

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