第206話 恐竜のような番犬

 建物の前には、大きな石の階段があり、入り口には

ギョロリとした目付きの犬が、寝そべっている。

どうやら置き物のように、眠っているようだ…

「起こすなよ、何だかとても、厄介だ!」

裕太がジュンペイにささやくと、

「わかった」

神妙な面持ちで、うなづいた。

(あれは そうだなぁ~番犬?

 ドーベルマンみたいな?

 襲われたら、ひとたまりもないなぁ~)

眠る犬をこわごわと見つめると、裕太はひそかにそう思う。

下から見上げても、このサイズ感だと、たぶん実際はもっと、

大きいのだろうなぁ~と、裕太はボンヤリと思う。

まるで神社の狛犬みたい!

もしかして…これは、巨人のペットなのか?

あの城が、この犬の小屋だとしたら、すごいんだけどなぁ~

などとへぇ~と思いながら、そう思う。

(さすがに、それはないだろう)

チラリと見える口の中には、鋭いキバがのぞいている。

かなり体もでっかくて、どう猛そうに見える。

もしも噛みついてこられたら、まずは無傷という訳にはいかない

だろう。


「そうだな」

 慎重に足音を立てないように気を付けて、ソーッと石段に

足を乗せる。

(絶対に踏むなよ!)

意識するとかえって、緊張で膝がガクガクする。

つま先立ちで、そぅっと脇をすり抜ける。

ようやく上の段に足を乗せた、その時!

カラン…

何かが、ひっくり返る音がした。

(えっ?)

マズイ!

ザワザワと、裕太の全身に鳥肌がたった。

 こわごわと、ゆっくりと振り向くと…

その番犬が、ゆっくりと身体を起こし、こちらをにらみつけて

うーっとうなっていた。

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