第131話 ここはどこの地下?

「どこって、地下だろ?」

 何で当たり前のことを聞くんだ、とジュンペイが大きな声で言う。

「そうよねぇ、地下よねぇ。

 でも、ここがどこの地下だか、知ってる?」

いきなりキヨラさんは、妙なことを聞く。

何を言い出すんだ、と裕太が思っていると、ふふふと彼女は笑う。

「まぁ、そのうち、わかるわよ」

意味あり気にそう言うと、再びスイスイと滑るように進む。


 一体、どのくらい、この暗闇の中を歩いたことだろう。

何だかとてつもなく、長い時間歩いているような気がする。

おそらくは、周りの様子が見えないことと、暗いところにいるために、

余計長く感じるのだろう…

延々と続くトンネルを歩いていると、急に不安になってくる。

「ね、どこに行くの?」

おそるおそる裕太が聞いてみる。

だけども裕太は、わかっていた。

おそらくは、その質問には答えてくれないだろう…と。


「どこって、言うか…」

キヨラさんは、言葉を探す。

「まぁ、行ってみれば、わかるわ」

それだけ言うと、再び前を目指す。

このまま、真っ暗な洞窟を、入って行くのかなぁ~

そう思いきや、横穴のような所に出て来た。

(えっ?)

「これって…外?」

 てっきり滝の裏側とか、地下の神殿とか、別のほら穴とか…

まったく違う場所を想像していたから、裕太の予想を

ものの見事に、裏切られた。

「ねぇ、見て!」

キヨラさんは、穴の淵に身を乗り出すようにすると、そこは

切りたったガケのようになっていた。

「危ない!」

彼女がギリギリの淵に立っていたから、すぐにスズカさんが叫ぶ。

もう1歩、前に踏み出したら、奈落の底のように見える、ガケの下

に落ちてしまう。

裕太は、思わずゾッと身震いをした。

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