サキアの休日…30

「いや、帰らない。

 帰る時は、サキアも一緒だ」

 その男は、キュッと唇を引き結ぶと、大きく足を開いた。

「お前が帰るまで…ボクも帰らない」

意志の強さを見せつけるようにして、そうキッパリと言い切る

ので…サキアははぁ~とため息をつくと、

「好きにすれば?

 私は帰らないけどね」

強い口調で、言い張る。

(これは一体、誰の差し金?

 マリさんではないから…まさか、キヨラ?)

 一瞬、そう思うけれど…

だけども、彼女はそんなことをするわけがない…

すぐに、そう思い直す。

 サキアは、グッと顔を突き出すと

「何よ、気に入らないの?

 私が、あんなことをしたから!」

 どうよ?

腕組みをして、思いきり虚勢を張ってみせた。


「何の話?」

 ミナトは、わかってないなぁ~と、肩をすくめる。

そんな彼の仕草が、実はサキアは気に入らない。

まるで自分が駄々っ子で、手を焼いて困っているように、

見えるからだ。

「だって…可哀想じゃない!

 キヨラは…あの子は…あなたのことが、好きなのに!」

思わずサキアは、声を張り上げた。

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