第281話 秘密の通路には…?

「裕太って…心配性だなぁ」

 逆にジュンペイに、笑われてしまった。

 なんだよ!

 立場が逆じゃないかぁ~

「そんなに言うんなら」

裕太はため息を1つつくと、

「わかった」

観念したように、手をあげた。


 だがまさか、暖炉の奥に、こんな通路があろうとは!

想像だにしてはいなかった。

目の前には、レンガ造りのガッチリとした通路が、広がっている。

「ここ…巨人が通るのかなぁ」

 どうも、巨人が通るには、ちょっと小さいような気が?

「さぁねぇ~他にもあるんじゃないの?」

巨人が暖炉の奥をくぐるというのみ、考えにくい。

だがジュンペイは、まるで興味がない、とばかりに、クルリと振り向くと、

再びスタスタと歩き始めた。


「そこ、すべりやすいから、気を付けてよ」

 すぐ前方から、ジュンペイの声がかかる。

裕太は慎重に、懐中電灯で照らして、ゆっくりと前を進む。

どうやらここから、下りの階段になっているようだ。

(一体、どんな造りになっているのだろう?)

そもそもこんなトコ…誰が作ったんだ?

奇妙に思いつつも、壁に手をすべらせて、ゆっくりと石段を下りて行く。

石造りのせいか、ジュンペイの声が異様に反響する。

(大丈夫なんだろうか?)

 まさか…巨人に、見つかったりしないだろうな?

裕太の中では、いつの間にか、巨人は子供をつかまえて、食べる…

というイメージがついていた。

それなのにジュンペイは、いつものように、ヘラヘラとしている。

(怖くないのかなぁ?)

自分は臆病ではない、と思うけれど、それでも段々と裕太は心配になって

きていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る