第321話 やったゾ!

「もちろん!」

 ジュンペイが、キッパリと言い切ると

「へぇ~」

裕太は尊敬のまなざしを向ける。

照れたように、ジュンペイは頭をかくと、

「いい?

 ある程度まで切れ目を入れたら、てこの原理で倒すんだ」

裕太に言い聞かせるようにして言う。

「てこの原理?」

「そう!習っただろ?」

「あ、うん」

そうしてブンブンと、ロープを振りまわしているうちに、

ゴンゴンと切れ目がついていく。

「おっ!」

さすがは、ジュンペイだ!

あっという間に、深く石が幹に食い込んだ。


「よし、こんなもんでいいだろう」

 即座に茎の傍らに近付くと、その石を引き抜く。

切れ目からは、ネバネバとした粘着質の汁が、糸を引いて

出ている。

その汁がついた石は、テラテラと緑色に変色した。

「おっ、これはマズイな」

その汁はしばらくすると、徐々に固まっていく。

裕太はそれに気が付くと、あわてて茎を強く押す。

放置していたら、おそらくくっついて、そのまま固まる

可能性がある。

まだ、くっつく前だったので、裕太はあわてて

「ほらぁ、早く押して!早く、早く!」

ジュンペイに向かって叫ぶ。

「わかった!」

2人でグィッと押すと…

バキバキバキバキ…

みるみる大きな幹は、倒れていった。

ドターン!

凄まじい音がして、もうもうと土煙が立つ。

「やったぁ~!」

ジュンペイは、ガッツポーズをした。




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