第361話 それは、道しるべ

「さぁ~行くゾォ」

 そうサキアさんがひと言吠えると、その声に合わせて、ブワッと

浮かびあがる。

「えっ?なんだ?スゴイ!」

小さな円盤は、それ自体がドローンのようになっていて、真っすぐに

立つサキアさんを、そのまま運んで行く。

(これって、体重制限はないの?)

「カッコイイなぁ~」

彼女の長い黒髪が、まるで旗印のように、たなびく様に見とれていると、

「早く!置いて行くぞ!」

サキアさんの声が、聞こえてきた。

「あっ」

 そうだった!

 ボーっと見ている場合じゃあなかった!

 早く、ジュンペイを探さなくちゃ!

(それと、ショーンもだ!)


 裕太はファルコンの背に、ピタッと身体をくっつけると、それを合図に

竜の身体もフワリと舞い上がる。

気が付くと…サキアさんの姿は、だいぶ先の方を行っている。

まるで道しるべのように、翼のように広がる髪が、海賊船の旗みたいに、

ヒラヒラと揺らめいている。

(どこに行くのか…サキアさんは、知っているのだろうか?)

その後ろ姿を見ながら、裕太はそう思う。

(大丈夫!あの人ならきっと、見付けてくれるはず!)

裕太の頭に、ファルコンの声が聞こえてきた。

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