第360話 ハンサムウーマン

 先を歩いていたサキアさんが、クルリと振り向きざま、

「何をしている?

 早く、ファルコンに乗れ!」

裕太たちに向かって、ビシッと鋭い声を浴びせかける。

「あっ…」

そうだった、とあわてて竜の背に手をかけるけれど、

「でも…サキアさんは?」

ふいに気づき、振り向く。

一緒に、乗らないのか?

まさか…走るわけではあるまい。

裕太の視線を感じたのか

「私か?私は…」

なぜかふふっと、不敵な笑いを浮かべる。

「心配いらない。私は、大丈夫だ」

そう言った瞬間、バッとものすごい勢いで、風が吹きつけ…

裕太が帽子を押さえていると、サキアさんの足元に、何かが

ビュンと近づいてきた。


「えっ?」

 あれは、何だ?

足元で、ブーンとかすかに、モーター音が聞こえる。

(そうかぁ。そういえば、この人はロボットを作っていたんだった)

裕太はふいに、思い出す。

(サキアさんって…ホントに、何者?)

思わず心の中でつぶやくと…

サキアさんは、目をカッと開けると

「私は…私だ!)

そう叫ぶと、その丸い円盤に飛び乗った。


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