第306話 この穴、どこにつながる穴?

「えっ、入るの?」

 ジャックがサッサと中に入ったので…裕太は戸惑いを隠せない。

(だって、この穴って…何か普通の穴とは違うぞ)

普通の穴…というのも、おかしな話であるが、いわゆる排気口とか、

通風孔とか、非常口とか、そういった類のものだ。

だがどうも…これは、そういった普通の穴とも違うようだ。

ためらう裕太なのだが、ジュンペイはまったく気にすることなく、

「大丈夫だよ、ちょっと気をつければ!」

余裕しゃくしゃくの調子で、裕太に向かって声をかける。

「じゃあ、お先に!」

トンとしゃがみ込むと、さっさと穴に身体をくぐらせた。

「えっ?おい、ちょっと!待ってくれよぉ」

あっという間に、ジュンペイは穴の中に吸い込まれていく。

「え~っ!

 こんな所を通るの?

 どうせなら…でっかい階段を、一気に滑り降りた方が、楽なのになぁ~」

思わず裕太はぼやく。

 行きはあんなに苦労した、巨人の階段…

あっちの方が、下りる方に関しては、よかったのに…

今さらのように、そう思う。


「お~い、大丈夫だぞぉ。おまえも早く来いよぉ」

穴の奥の方から、先に行ったジャックの声が響いてくる。

「もう、仕方がないなぁ」

裕太としては、不本意なのだけれど、単独行動はやはり何があるのか

わからなくて、危険なので…

ブツブツと口の中で、文句を並べ立てながら、2人の真似をして、

四つん這いになった。

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