第332話 シェーラの正体は…

(えっ?)

 犬笛なんて、ホントに効くのか?

(ジュンペイ、それはないだろ?)

そう思うのに…ジュンペイをつかむ、シェーラの手がみるみる離れる。

さらに信じがたいことに、彼女は耳に手をあてて、祭壇の下に開いた

穴に、落ちて行った…


「え~っ!」

 どういうことだ?

目の前で起きたことが、理解が出来ず、裕太はポカンとする。

もしかしてジュンペイは、何か気付いたのか?

裕太と目が合うと、ヘヘヘと悪びれずに笑う。

「まさかこれが、本当に役に立つとはなぁ」

笑いが止まらないのか、今度は大きな声で、ガハハハと笑う。

「え~っ、なんだ、マグレなのか?」

 なんてことだ!

 驚いて、損をしたなぁ~

裕太はそう思っていると、

「だってさ、さっきシェーラの足にしがみついただろ?

 そしたらさ、チラリとシッポが見えたんだもん!」

今度は鼻を膨らませて言う。

「はぁっ?」

なんだよ、それ!

裕太は呆れて、口がふさがらない。

「そっ!」

得意気に、ジュンペイがにぃっと笑うと、意味あり気に

「あれって…化け犬だよ」と言った。

「えぇ~っ!化け犬ぅ?」

思わず大きな声で叫ぶ。

大体、化け猫って聞いたことがあるけど…

「犬?」

思わず裕太は、プッと吹き出す。

「そんなことって、あるのかぁ?」

大笑いをしていると、

「あるんだよ!」

ジュンペイは、自分の言ったことを笑われたのかと思い、

たちまち気を悪くして、プゥッと頬をふくらませる。

「ゴメン、ゴメン」

まだにやけた顔のままで、裕太はジュンペイの肩をたたいた。

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