第47話 新たな出会い、新たな仲間?
世の中には、見たものだけが、真実とは限らない。
秘められた陰が、存在するからだ…
このトオも、一見冒険者たちのサンクチュアリと
見られがちだが、その奥底には、欲望や犠牲が伴われることも、
彼らはまだ、知らなかった…
「ちょっとぉ~あんた、何をやっているの?
この子、かえって怖がっているじゃないの」
リンとした涼やかな声で、若い女の声が聞こえてきた。
(えっ、この人だけじゃないの?)
ジュンペイは、さらに身体を固く縮めた。
この人たちは、何者だ?
とんでもない所に、自分は連れて来られたのか?
ジュンペイは珍しく、黙り込んでいる。
その女性は、ニコニコしながら、ジュンペイに近付くと
「こんばんは!
ねぇ、あなた…どこから来たの?」
身体をかがめて、話しかけてきた。
目がクリクリとして、人懐っこい顔をした、若いお姉さんだ。
(兄ちゃんがいたら、間違いなく惚れるなぁ)
思わずジロジロと彼女を見た。
「ねぇ、ここで…何をしているの?」
気が付くと、数人の男女に取り囲まれていた。
見知らぬ大人たちに、囲まれると…
さすがのジュンペイも、困惑する。
「私たちは…あなたの味方よ!
助けに来たのよ!」
先ほどの男と同じようなことを、彼女は言う。
額面通り、受け取ってもいいのか?
それとも、まだ…何かあるのか?
ジュンペイは決めかねている。
「ここは無法地帯だから、何があっても、警察は助けて
くれないのよ」
そう言うと…急に女性はハッと目を見開き、
「まさか、あなた…あのトオに上るつもり?」と聞いた。
ジュンペイはこの人たちを、信用していいのかどうか、
まだわからない…
だがここがどこか、わからない以上、彼らに頼るしかない…
と考えを変えた。
急にピョコンと頭を下げると、
「ボク…友達を助けないと、いけないんだ!」
キッパリとそう言う。
「あぁ~もしかして、捕まってる?」
訳知り顔でうなづく。
「えっ、お姉さん、何で知ってるの?」
驚いて聞くと、女性は他の仲間を、チラリと見る。
「ここは、私たちの庭のようなもの…
何かあった時のために、あちこちにカメラをつけているのよ」
何気なく、廊下の上部を指差した。
天井にチカチカと、赤い光が漏れている。
あれは、カメラ?
いや!
あれは…こうもり?
「えっ?」
ジュンペイは驚いた顔をすると…
「いやいや」
その視線に気付き、彼女は手を振ると
「あれはね、ロボットよ!
敵に怪しまれないように…
仲間が作ったのよ」
ニッコリと笑った。
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