第48話 地下の人たちと迫りくる予感

 安全と考えていたことが…実は偽りだったり、怪しいと思った

ことが、実は安全だったりすることがある。

表面的なことで、判断すると…

真実にはたどり着けないことがあるから、ものを見る目を

養わないといけないのかもしれない…


「キミの友達は、すでに仲間が救出に向かっているはずだよ」

 警戒して、にらみつけているジュンペイに、男がサラリと

言ってのける。

「だからキミは、安心していい」

そう言って、何やら女性と話し込んでいた。

 そこへ突然、カラスのような真っ黒な鳥が、こちらに向かって、

突進してきた。

 危ない!

あわててジュンペイは、飛びのいた。

 えっ、今度はなんだ?

ジュンペイが、サッと身体をどけると、男はポンとジュンペイの

肩に手を置くと

「大丈夫だ。

 これは、ボクたちのメッセージバードだ」

先ほどの男が、にこやかに告げた。

「へぇ~何か、カッコいい!」

 とたんにジュンペイは、目をくりくりさせて、羨望のまなざしで

見つめる。

メモリートリーといい、カメラといい、ロボットの鳥が流行っているのか?

ジュンペイは、つくづく感心する。

 その間も、男はメッセージバードの足から、手紙を取り出すと…

みるみる顔色を変えた。

チラリとジュンペイを見ると、何とも言いた気な顔つきになる。


「どうしたの?何かあったの?」

 男の表情に、陰りがあるのに、すかさず気付く。

これは、何かあったに違いない。

そうなると、聞き出さないと気が済まない性格だ。

男の袖口が、ちぎれそうになるくらい、ジュンペイは強く引っ張る。

「ねぇ、何かあったの?」

 そのこわばった顔から、何かを読み取ろうとがんばる。

 はぁ~

男はため息をつくと、ようやく観念したのか、ジュンペイの顔を

見ると

「どうやら、一足遅かったみたいだ」とつぶやいた。

「えっ、どういうこと?」

さらに、ジュンペイが顔をのぞき込むと

「キミの友達…連れて行かれたそうだ」

悔しそうな顔になる。


くそっ!

壁にこぶしで殴りつけると、ジュンペイは彼の前に周り込む。

「どうして?

 だって、助けに行ったんでしょ?」

問い詰めるようにして、声を荒げる。

「そうなんだが…間に合わなかったらしい」

「うそだ!そんなの!

 オジサンたち、強いんでしょ?」

甲高い声で、ジュンペイは叫ぶ。

「どうして?裕太は、どうなるの?」

うわぁ~と叫ぶと、自分の頭をポカポカとこぶしで殴った。



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