第49話 トラブル発覚!
その頃、サキアはいつものように、カード占いをしていた。
慣れた手付きでカードを繰ると、1枚、また1枚と
テーブルに並べる。
十字の形に並べた後、さらにもう1枚手に取ると・・・
「あら?何かあったか?」
サキアの顔色が変わった。
「サキア様!大変です!」
その時、ボディーガードが突然彼女の元へやって来る。
「何なの、騒がしい。
ミスター!ノックくらい、して下さい」
キュッとまなじりをしかめた。
「すみません!」
ミスターは慌てて1歩下がる。
「で、なに?」
続けるよう、催促する。
「申し訳ありません!
ちょっと目を離したすきに…
子供たちが、いなくなりました!」
これは自分の失態だ…
彼はうなだれた。
みなまで言いきらないうちに、みるみるサキアの顔色が
変わる。
「やはり、そうかぁ」
ため息をつく。
「そういうことだったのか…」
先ほど占っていた、手元のカードに、サキアは目を留める。
「どういたしましょうか?
すぐに、警察に連絡を!」
いつもは冷静沈着なボディーガードが、身も世もなく
あわてている。
ふん…
サキアは腕組みをすると、
「あなたらしくないなぁ、ミスター」
深く息を吐く。
「申し訳ありません!」
彼は頭がつきそうなくらいに、頭を垂れる。
「まぁ、警察は…おそらくあてには出来ないだろう」
ここは治外法権だからな。
この町は、独自の法律と独自のやり方を、政府に認められている。
だから…よっぽどのことがないかぎり、国家権力でさえ、
手出し無用だ。
司法取引の手にゆだねないとならない、特殊な地域なのだ。
うーんとうなりながら、サキアは目をつむる。
何か妙案が、ないものだろうか…
そこへ、一直線に鳥が飛んで来る。
気配を察して、サキアがカッと目を開けると、机の上に、
メッセージバードが止まっていた。
「なんだ?」
サキアがその機械仕掛けの鳥を見ると、録音された音声が
再生される。
「キミが大切にしている子供を、私が預かっている。
返して欲しくば、例の約束のものを、持ってくるように…」
しわがれた男の声が、鳥の口から流れてくる。
「なんだとぉ~」
サキアはギュッと、先ほどのカードを握り締める。
それは…死神を表すカードだった。
「サキア様、まさか…」
ボディーガードは、心配そうに、彼女の顔を見つめる。
「ミスター、最悪の事態になったようだ。
すぐに出発するぞ!」
そう言うと、ガタンと椅子を引いた。
「ドクターバードめ!
何であの子たちを…」
カードを握りつぶすと、奥歯をグッと噛みしめた。
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