第355話 野生の本能
狩り?
何のこと?
サキアさんは、ポカンとする裕太と向かい合わせになる。
「だからおそらく…あの子をオトリに使うはずだ」
まっすぐに、瞳を裕太に向ける。
「オトリ?」
なんで?
「何の目的で?」
裕太には、わからないことばかりだ。
そんな彼を見つめる、サキアさんのまなざしが、ほんの少し
優しい…
「たぶん、目的のものを、手に入れるために」
「目的?」
「あの子の欲しいのは…おそらく、鳥だ」
「トリ?」
サキアさんの答えを聞いても、なお裕太にはわからない。
(何で、鳥のために…ジュンペイは人質になったんだ?)
考えていた予想とは、まったく違う。
ますます裕太の頭は、混乱してきた。
「なんで、トリ?」
キョトンとする裕太の顔を見て、サキアさんはなぜか、満足そうな
笑みを浮かべる。
「鳥で…思い当たることはないか?」
さらにじぃっと、裕太の反応を待つ。
なに?
自分が、知っているということなのか?
ボクたちと、関係のある鳥…
メモリーバードは、ボクたちにはいないから…
となると、なんだ?
あと、鳥?
鳥って…
ハッと気付いたように、裕太がサキアさんを見上げる。
「そう、ショーンだ」
正解!
今度はにこやかに、サキアさんはうなづいた。
「ショーンを引き渡したら、報奨金がもらえるからなぁ」
サキアさんは、歌うように言う。
「えっ?」
そんなの…ボクたちは、聞いていない、と裕太は思う。
だが、サキアさんは大きくうなづき、
「私だって、その気になれば、もらえるけどね!」
裕太の反応に、ニヤニヤする。
本気かどうか、その顔を見てもわからない。
「で、ショーンが、なんで?」
急にサキアさんのことが、わからなくなる。
本当に優しい人なのだか、実はそうではないのか。
「ショーンって、そんなにすごいの?」
とても悪者には、見えないんだけどなぁ~
「おたずね者なの?」
裕太が重ねて聞くと、
あはははは!
サキアさんは、大きな口を開けて笑う。
「うーん、正確には違うんだけど。
まぁ、とても貴重な実験データというか…成功例だしな!」
「へぇ~」
何だか、よくわからないけれど、そう言われると、そうなのかなぁ…
とも思う。
「彼は、美しいだろ?
あれは…この世界の太陽神を模したものだ」
今度は、サキアさんが予想外のことを言い出した。
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