第356話 彼は、美しい?

「へぇ~」

 何だか、すごい話になってきたぞ。

 まさかショーンに、そんな秘密があるとは…

裕太は思わず、目を見張る。

「じゃあ…サキアさんよりも、すごいの?」

じぃっと彼女を見上げて言う。

「えっ?」

何を言っているんだ、と呆れた顔をすると、口元をにぃっと

横に引く。

「私とショーンとでは、格が違う」

ややムッとしたように、切り捨てるように言った。


 シェーラの目的が、ショーン?

いきなりそう聞かされて、裕太はやや面食らう。

「どうして、ショーンを?」

まだ、頭がうまくついていかない。

 何かしたのか?

 それとも問題があるの?

裕太はポカンとする。

「どうしてって…キレイだし、優秀だからでしょ?」

言っても、裕太にはわかんないでしょ、とサキアさんはキッパリ

と言う。


 そう言われたら、そうかぁ…

科学的にとか、遺伝子レベルのことなんて、裕太にはよく

分からないけれど…

確かにショーンが、びっくりするくらいキレイで、しかも驚くほど

強いもんなぁ~と思う。

(だけど、話す言葉は、全然イケメンではないけどね)

声だって、普通だし。

無口を通り越して、不愛想だし。

(もっとも、本当は優しいけどね)

あまりにも、ギャップがあり過ぎるけれど、当の本人は気にしては

いないようだ。

だから、そのままでもいいかぁと裕太は思う。

「ま、とにかく…シェーラにも、ショーンにも、気をつけるんだな」

ポンとそう言うサキアさん自体も、十分何者なのか、謎だということには

変わりなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る