番外編 サキアの休日

サキアの休日…1

「やれやれ、やっとあの子たちも、帰ったのね」

 一件落着かぁ~

サキアは、空を見上げる。

丁度トオの天井が崩れて(すぐに再生されたけれど)

竜とバードマンが、そこから飛び立ったのを、見届けたところだ…

「ホント、今回は、手こずらされたわねぇ」

 本来ならば、不干渉の態度を貫くサキアだ。

ここまでトオの挑戦者に、深入りすることはない。

だが、今回は未成年だ。

おまけに自分の意志で、ここに来たわけではない。

よその世界から、飛び込んで来た…

いわば、異次元の迷子なのだ。

(事故みたいなものよね?)

さすがにそれは、放ってはおけない…

珍しく彼女は、そう判断したのだ。


「小生意気で、手のかかる子供たちだったなぁ」

彼女は陰で、ボディーガードを使って、ひそかに見守っていたのだ。

「あぁ~たまには、息抜きでもしようかしら?

 マリさんでも誘って!」

帽子を目深にかぶると、大きく伸びをした。


 ふぅ~と肩をもんでいると、ボディーガードがスッと柱の陰から

現れて、

「サキア様。

 どうやら無事に、帰ったようです」

嬉々として、彼女に報告をする。

「何だか、嬉しそうね、ミスター」

 このボディーガードは、元々はその辺でホームレスになりかけて

いた人物だ。

そこでサキアと出会って、とんでもない賭けを持ちかけた。

自分と戦って、もしも勝ったら、弟子にしてくれ…

と、もちかけてきて、あまりにうるさかったので、それに応じた。

もちろん、サキアが負けるわけがないのだが、つい《面白い》と

気まぐれを起こしてしまい、自分の付き人兼秘書として、ボディーガードに

育て上げた、という経緯の持ち主なのだ。

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