第241話 お城、拝見!

 天井が吹き抜けになっていて、かなり高い。

一体ここは、何階まであるのだろう?

裕太は首が痛くなるくらい、上を見上げる。

「さぁ、さっさと回ろうぜ!

 巨人が帰って来るかもしれない」

せかすように、ジュンペイが言うと、

「それも、そうだな」

裕太も同意すると、ロープを回収しようとした。

「あっ、そのままにして!」

裕太に気付くと、ジュンペイがあわてて声をかける。

「なんで?」

「だって…帰る時にも、いるだろ?」

そう言われれば、そうなのだが…

「でも、ロープがいることがあるかも」

重ねて言われると、その手を止めて、ジュンペイを見る。

「あっ、そうか」

あっさりと、ジュンペイは引き下がった。

 思いのほか、固く縛っているロープを、どうにかこうにか外す。

「とりあえず、まっすぐ行こう」

ジュンペイが言うままに、ロープをしまうとついて行く。


 何だかとても大きな城に、迷い込んだみたいだ。

窓が見当たらないせいか、少し薄暗い。

「今、何時くらいだ?」

裕太が聞くと、

「さぁ?」

ジュンペイは、頭を振る。

「でもまぁ~まだ、昼前だろ?」

「そうなのか?」

「腹の減り具合が」

笑いながら、ジュンペイが言う。

「なんだよ、それ!」

 それにしても、ずいぶん長い間、ここにいるような気がする。

かなり手間取ったせいもあるけれど…

ボンヤリと、オレンジの光が目に付く。

大きな柱に、点々とでっかい年代物のランプが、ぶら下がって

いた。


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