第242話 すべてがけた違いの巨人の家!

「さっ、早く行こうぜ!」

「う、うん」

 すっかりその気になったジュンペイに、引きずられるようにして、

廊下を歩く。

さすがにとても…静かだ。

声を立てるのも、ためらわれる。

マーサが側にいないせいか、やけにだだっ広くて、大きな廊下は

まるで道路みたいだ。

(不思議な国のアリスみたいだな!)

自分が小人になったような、不思議な感覚だ。


「でもさぁ~どこに行けばいいんだろ?」

何しろ巨人仕様だ。

ドアまでデッカイ。

「ね、これ、全部回るの?」

ややゲンナリとして、裕太は聞いた。

「う~ん、それは無理かなぁ」

さっきよりも、ジュンペイはワクワクした顔を、こちらに向ける。

「なんで?」

「だって…そんな時間、ないもん」

やけにニヤニヤ顔で、ジュンペイが言う。

だけど…少しもガッカリした様子もない。

「ないって、どういうことだ?」

 ジュンペイの考えていることが、さっぱりワケがわからない。

裕太が頭をかしげてみせると、

「それがさぁ~」

まるでとっておきの秘密を、打ち明けるように、ジュンペイは

小声になる。

「ほら、ショーンと約束したろ?」

相変わらず、もったいぶった顔をする。

「なんだって?」

何か約束しただろうか。

くやしいけれど、裕太の頭からすっかり抜け落ちている。

 するとますますジュンペイは勢いづいたのか、

「あれ?忘れたの?

 あとで、合流しようって!」

鼻を膨らませて、腰に手をあてて、そう言う。


 そうだ、そうだった!

 そんな話を、していたかもしれない…

「えっ、でも…時間とか言ってたっけ?」

残念ながら裕太には、そんなことを聞いた記憶がなかった。

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