第240話 ようやく、てっぺん!

(よかったぁ~)

 心底裕太は、ホッとする。

「ほら!ちゃんと、つかまれよ!」

ジュンペイのあの小さな体のどこに、そんな力がひそんで

いるのか…

そんなことを考えさせられるくらい、思いがけない勢いで、

グイグイ ロープが引き上げられる。

じりじりと、確実に裕太の身体も、上に引き上げられた。


「見かけによらず、力持ちなんだなぁ」

恐れ入ったなぁ~と、感心した面持ちで、裕太が声をかけると、

「だろ?これくらい、屁でもないさ!」

褒められたと思ったのか、ヘヘヘ…とジュンペイは鼻の頭を

こする。

ようやく階段の手すりまで、引き上げると…

裕太はすかさず、手すりに手を伸ばし、懸垂の要領で、ジュンペイ

の所まで身体を引き上げた。


「うわぁ~」

 踊り場から見下ろすと、とんでもなく高い…

「ずいぶん、高いんだなぁ~」

ここを上ったのか?

見下ろすと、さっきまでいた所が、マッチ箱のように小さい。

本当に、これで2階なの?

驚く裕太に、ジュンペイはヘヘンと鼻をならすと、

「当たり前だろ?

 だって、巨人の家なんだから!」

そう言う割りには、涼しい顔をして、

「よっと!」

ピョンと手すりから離れると、トンと踊り場に降り立つ。

あらためて立って見ると…思いがけなく広い空間が、

目の前に広がっている。

「スゲェなぁ~」

思わず口笛を吹くと、ジュンペイは裕太を振り返り、

手招きをした。

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